タバコの広告
長さ100ミリのタバコ、ヴァージニア・スリムが新しく発売されたのは、ほぼウーマンリブ運動の時期でした。
テレビのコマーシャルは、女性はずっと耐えてきた従属的地位に甘んずることはないと、さかんに強調し、しかもそのコマーシャルには女性の感情がこもっていました。
1970年以降、タバコの宣伝は、テレビでの放映が禁止されたので、ヴァージニア・スリムは、印刷媒体による宣伝をはじめたのです。
同社は初めから確証にもとづく広告代理店による宣伝をしていました。
つまり、時代の変遷を自覚する女性がすうタバコであることを示すコピーと写真をもちいて、女性の心をとらえてきているのです。
古風で、しかも物静かな口調で、コピーが表現されています。
「1914年、当時有名なウィーンの精神分析医、フレドリック・シューリンガ氏に6年間の治療をうけていたルース・ンーンバッグ夫人は、同氏の面前でタバコをすえるほど回復しました。
そこで同氏は夫人を退院させたのです」。
・・・その広告が恩典を何も約束していないことに注目してみましょう。
だからといって、その広告の女性のようになりたいと思っている女性はだれもいないのではないでしょうか。
とくにもし、当局がどれほどタバコの有害性を強調しても、少しも気にしないでタバコをすいたがる女性であるなら、なおさらのことですよね。
全面カラーの広告は、女性の注目を浴び、女心をゆさぶるものです。
長方形のハーフトーン部分が、前もって女性に信頼感を与えていることにも注意しましょう。
そしてスローガンにも。
それは「ベビー」という言葉を使って、女性らしさを積極的に意識させています。
また、終わりの部分で、とくに目立つようにパッケージを見せているのです。
客が店に行ったとき、それを想い出すことがあるからです。
ここで注意することは、客の気分を悪くさせるような、しつこい広告はさけることです。
1968年に発売されたヴァージニア・スリムは、7年後には、年間49億本のタバコと、39億本のタバコを売り、発売以来、じつに1000億本のタバコを売ったのです。
まさに、テレビの連続長期コマーシャルにも優る効果をあげたといえます。