日本の農業の未来
比較生産費説が抽象的理論ないしモデル論として一定の正当性をもつことは否定しがたいものです。
しかし、だからといって、これをそのままの形で現実の世界経済に適用し、それによって国際分業を正当化するというわけにはいきません。
理論と現実との間には、さまざまな問題が残されているからです。
それは大きくいって、次の二つに分かれます。
一つは、こうしたモデル自体の限界という点であり、いま一つは理論と現実とのずれという点です。
・・・以下、これについてやや立ち入って検討してみましょう。
まず、モデルそれ自体に内在する問題点としては次の三点をあげることができます。
第一は、世界各国の経済発展段階の捨象という点です。
比較生産費モデルは各国の経済発展段階の違いを無視し、いわば同質の経済を横並びで比較するという形でつくられています。